紙幣(しで)

 
 紙弊(しで)とは和紙を特別な形に切って折ったもの。
 注連縄、玉串、祓串、御幣などにつけて垂らします。秋祭りの間、氏子の家の軒下に紙弊(しで)を垂らしたしめ縄が飾られます。

 「紙垂は白一色が多いのですが、この地域は青土佐を用いますね」と神官さんがおっしゃいます。
 さて、青土佐とは・・・。

 かつて全国有数の和紙の産地だった土佐の国には名産「土佐七色紙」がありました。その七色とは黄紙(きがみ)、浅黄紙(あさぎがみ)、桃色紙(ももいろがみ)、柿色紙(かきいろがみ)、紫紙(むらさき紙)、萌葱紙(もえぎがみ)、朱善寺紙(しゅぜんじがみ)。 なかでも「浅葱紙(=青土佐)」は一番生産量が多かったということです。

 ところによって少しずつ形も色も違うようです。秋祭りの期間、少し立ち止まってご覧ください。

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稲のひこばえ

 蘖(ひこばえ)とは、樹木の切り株や根元から生えてくる若芽のことです。
 もとの樹木を親に、細い若芽を孫(ひこ)に見立てて「ひこばえ(孫生え)」。
 樹木では春から夏にかけて多く見られるからか、俳句では春の季語となっています。

 刈り取った稲の株から生える、新たな芽もひこばえと呼んでいます。暖かい地域では、強い霜が来るまでの間にひこばえが成長してわずかながら実もなります。

 天明七年(1787年)にしるされた土佐の農業書「続物紛(ぞく もののまぎれ)」には
「ひつち(稲のひこばえ)」について書かれています。
 「結実させず刈って干せば牛馬の飼料としてよい」、「もち米のひこばえは結実させ、粉にして寒ざらしにすると薬になる」とあります。

 今はこのようにひこばえを利用することがなくなり、初冬に青々としたひこばえが野生動物の餌になることから、野生動物を人里に呼び寄せ、それが鳥獣被害につながると言われています。
 くらし方の変化が思いもよらない問題を起こしています。

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農産物品評会の季節です。

 稲刈りも終わり、秋祭りも一段落。
 農村では「産業祭」が開かれます。

 「産業祭」と一緒に開催される「文化祭」。
 生け花、絵画、手芸・・・。
 子供たちの力作も会場に展示されます。

 「産業祭」の中でも、農山村ならではのイベントが「農産物品評会」。 出荷用の畑で、家庭菜園で、丹精込めた農作物が品質を競います。
 入賞したお品も、惜しくも賞に漏れた品々もどれも僅差のいい出来栄えです。

 出展された農産物は即売されます。
 新鮮で、驚くほどのお買い得。それも「産業祭」だからこそ。

 お買い上げの品物のお渡しは、表彰式が終わってから。それまでちょっとお預けになります。

 

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花取り踊り(はなとりおどり)

 四国高知では神社の祭りを神祭(じんさい)と呼びます。
 夏祭と秋祭があり、秋祭はことににぎやかに行われます。
 花取踊りはその神祭で神様に奉納するもの。かっては高知県の各地域で行われていたようですが、今では少なくなりました。
 地域によって踊りの型、装束、持ち物が違っていて、興味を惹かれます。
 
 
 画像は四万十町中津川河内神社に奉納される花取り踊り。
大太刀、小太刀が向かい合って時に優美に時に勇壮に舞います。

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棚田 キャンドル

 高知県津野町貝の川の棚田で毎年行われるキャンドルイベント。
 稲刈りの済んだ田んぼが一夜、幻想的な空間に。

(画像提供:西森路晃氏)

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田舎旅おすすめ入門書のコーナーを新設しました。

ホームページの右のツールバーに新コーナー「田舎旅おすすめ入門書」を設けました。

田舎旅の前に・・・・・
田舎旅から帰って・・・・
ページを開くと・・・・。

田舎旅を100倍楽しくする本をご紹介します。

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うろこ雲

 専門用語では「巻積雲(けんせきうん)、絹積雲」。
 小さな雲片の群れが集まって魚の鱗のような形状に見えるものです。
 鱗雲(うろこ雲)、鰯雲(いわし雲)、さば雲などとも呼ばれます。

上空で暖かい空気と冷たい空気が接することで細胞状対流(ベナール対流)が起き、それがうろこのような小さな塊を作ります。温暖前線や熱帯低気圧の接近時には特にできやすく、巻雲に引き続いてこのうろこ雲がみられると天気の悪化の先触れとなります。
日本に台風や移動性低気圧が多く近づく秋に見られる雲。秋の季語にもなっています。

「あ、ハート!!」という声が聞こえて見上げると・・・。雲の隙間がたしかにちょっとハート型。

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棚田

 棚田(たなだ)とは、山の傾斜地に階段状になった田のことで、多くの棚田が集積した景観は「千枚田(せんまいだ)」とも呼ばれます。


 「耕して天に至る」と言われるように、空に向けて等高線に沿って水田が並びます。考古学的に見ると、日本では6~7世紀ころ中部地方の 標高600m~700mの高冷地で米作が完成されていると推定されるそうです。

 大きな河川のデルタ地帯や海岸・湖沼の干拓事業が始まったのは徳川時代になってからですから今日の主要な米の生産地が形成されたのは近世以降。そうなると、山村の山肌には、平野に広がる大水田よりも古い歴史を持つ棚田があるということになります。

 歴史をしっかりとふり返れば、棚田の風景は、貧しいゆえだけの勤勉の風景ではありません。その中に稲作技術のイノベーションと挑戦の息づかいが聞こえるからこそ、私たちを惹きつけるのです。

 画像は高知県津野町の貝の川地区の棚田。(画像提供:西森路晃氏)

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酢みかん(香酸柑橘)

 「香酸柑橘(こうさんかんきつ)」とは聞き慣れない言葉です。
 酸が強くて甘味がないため、そのまま食べることはしないけれども、香りがよいので果汁を料理に使う、そういう柑橘(みかんの仲間)を専門用語でこう呼びます。
  「酢みかん」と総称する地域もあります。
 たとえば
ユズ、かぼす、すだち・・・・・といえば、お分かりですね。 
焼き魚に
 焼酎の水割りお湯割りに
きゅっと絞れば、皮から香味の油が散って香りが立ち上ります。

農産物直売所で、いろんな酢みかんが出荷されています。

    ユズが真ん中で、左手前が「ブシュカン=餅柚(仏手柑とは違う品種)」、後ろがやや黄色に色づいた「すだち」、右手前が「かぼす」となっています。

 今夜は4種の焼酎サワーが楽しめるかも。

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サツマイモの花

サツマイモの花

 サツマイモ(薩摩芋)はヒルガオ科サツマイモ属の植物。
ヒルガオ科の仲間には、アサガオやエンツァイ(空芯菜、アサガオ菜)があります。

 南アメリカの熱帯、亜熱帯地域が原産ということですから日本には地球を半周してやってきました。渡来したルートにはいくつかの説がありますが、やせ地でも元気に育ち地下にはたくさんおいもをつけることから、飢饉を救う作物として歓迎されました。

 サツマイモで思い出すのは私の祖父のこと。祖父は先の大戦で命からがら南の島から帰ってきました。
 その島では砲台を築く任務の傍ら、任務の進捗を窺いながらサツマイモを作ったそうです。部隊が飢えなかったことが一番の自慢で、何度もくりかえし島でのサツマイモ栽培を語ってくれました。幼い私はそれがどんな重い意味を持つのかが分からず、ようやくそれを知ったのは祖父が亡くなった後でした。

 画像は山村の収穫間近の畑で見つけた「サツマイモの花」。
 植物の専門書には「サツマイモの花は熱帯・亜熱帯でないと開花しにくい」とありますから、ご覧になったことのない方もいらっしゃるのでは。
 ヒルガオ科というだけあってアサガオに似ていて、やや小ぶりでしっかりした感じの花です。

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