棚田

 棚田(たなだ)とは、山の傾斜地に階段状になった田のことで、多くの棚田が集積した景観は「千枚田(せんまいだ)」とも呼ばれます。


 「耕して天に至る」と言われるように、空に向けて等高線に沿って水田が並びます。考古学的に見ると、日本では6~7世紀ころ中部地方の 標高600m~700mの高冷地で米作が完成されていると推定されるそうです。

 大きな河川のデルタ地帯や海岸・湖沼の干拓事業が始まったのは徳川時代になってからですから今日の主要な米の生産地が形成されたのは近世以降。そうなると、山村の山肌には、平野に広がる大水田よりも古い歴史を持つ棚田があるということになります。

 歴史をしっかりとふり返れば、棚田の風景は、貧しいゆえだけの勤勉の風景ではありません。その中に稲作技術のイノベーションと挑戦の息づかいが聞こえるからこそ、私たちを惹きつけるのです。

 画像は高知県津野町の貝の川地区の棚田。(画像提供:西森路晃氏)

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