フユイチゴ

 多くのイチゴが夏に実るのに対して、冬実るから「フユイチゴ」。

 この季節に山道を行くと
 道端で愛らしい赤い実に出会います。
 ちょっとつまんで口に入れるとほのかな甘み。
 味の濃いものが多くなってきたこの頃では、物足りないと思う方もいるのかもしれませんね。
 ふたつ、みっつと食べてみて、自然の甘さを楽しみましょう。

 日本の中部以南ではごくごくありふれたイチゴです。
 でも、
 たとえばヴァンクリーフ&アーペルならばどんな透明度のルビー?ガーネット?で作るのかしら・・・
と思わせる美しさです。

 

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天の岩戸(津野山神楽)

 津野山神楽の演目は18あります。
 そのひとつ「天の岩戸」。

  ご存じのように、弟の建速須佐之男命(スサノヲノミコト)の乱暴狼藉に悩み怒って天照大神が岩戸に引き篭ってしまわれたのですが、八百万の神々が思案し工夫した作戦が効を奏して、姿を現されたところです。

 この神話では、私は天宇受賣命(アメノウズメノミコト)の大ファン。
 かの大胆な踊りで有名な命は、
 一方で「天孫降臨」という大事の際に天孫「邇邇藝命」に付き添う五神のひとりでもあります。

 天照大神からは「なんじは手弱女にあるといえど、いむかう神と面勝つ神なり(おまえは女性ではあるが、面と向かっても気後れすることがない)」と評価されています。
 この二つのエピソードからは、機転のきく、意志の強い、はつらつとした女性像が目に浮かびます。
 同時に、命を抜擢した天照大神も、さすがだと思うのです。
 
 大神の舞のゆったりした動き、面はいろんな表情を見せ、舞台に引きこまれます。

 

 

 

 

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原木シイタケ

 シイタケは、ハラタケ目- キシメジ科(他の説もあり)- シイタケ属 (en) のキノコ。食用とされているキノコの中でも一番身近なキノコです。

 シイタケは自然界では、主にクヌギやシイ、ナラ、クリなどの広葉樹の枯れ木に発生しますが、今店先で見るシイタケのほとんどが栽培したもの。

 栽培のしかたによって、広葉樹のほだ木で栽培する「原木シイタケ」、おがくずなどで作った培地で作る「菌床シイタケ」があります。

 シイタケの栽培技術ができたのは江戸時代からだそうですが、今日のように安定的に生産されるようになるまでは、大儲けするかとおもえば、大損するというハイリスクハイリターンの事業だったとか。

 

 高知県の津野山農業協同組合の出荷場では原木シイタケの荷造りで大忙しです。生シイタケは鮮度が落ちやすい食材で、農家の裏山のほだ木から取ってきたばかりのこんな新鮮なものにはなかなかお目にかかれませんね。

原木で丸々成長しているシイタケは、こんな感じ。
 

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柿紅葉(かきもみじ)

 山野が紅葉のころ、里山の柿の葉も色づきます。
 柿紅葉(かきもみじ)は秋の季語。

 初夏の柿若葉の透明感のある緑の中のどこに
 このような色合いが隠れているのでしょう。

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浦安の舞(うらやすのまい 高知県津野山地域)

 浦安の舞(うらやすのまい)は、神楽の一つです。
 多くの神楽が男性の舞ですが、この舞は巫女神楽として氏子の中の若い女性、少女が舞います。
 高知県津野山地域の神社の秋祭りで奉納されるのは四人舞(これが正式なものだそうです)。
 舞の前半はたおやかな扇舞、後半はきりっとした鈴舞です。

 「浦安の舞」は昭和15年の「皇紀二千六百年奉祝会」に合わせ神楽舞を新たに作った際に誕生したものといわれます。 津野山神楽のおよそ千年の歴史から見ると新しいもののように感じますが、それでも70年以上昔のこと。 むしろ「昭和」が遠くなり、歴史の中に入っていくのを感じます。

 
 画像は津野町芳生野の諏訪神社の浦安の舞(鈴舞)と梼原町竹ノ薮の三嶋神社の浦安の舞(扇舞)。

 

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津野山古式神楽(津野町宮谷地区 大元神社)

 神楽は、五穀豊穣、無病息災を願って奉納する舞です。
 神社で奉納、というと古いイメージを持つ方もいらっしゃるでしょうが

 神社の板の間を伝わって突き上げてくるような太鼓の音、鉦のリズムは、むしろ現代的です。
 

  まずは神事から。その後、奉納の舞になります。
 今日奉納されたのは、面をつけない「一人舞」おそらく花米 はなよね) と 「山探し」

 「山探し」は金山彦のお使いの神が、失くした宝剣を訪ね歩き、ようやく見つけて喜び舞うもの
 

 

 

 

 

 訪ね歩くところのうつむいた、抑制のきいた舞と
 後半の弾けるような舞が
 対照的かつドラマティックで、惹きこまれてしまいます。

 舞い終わったのち
 この宮谷地区で生まれた生後1年未満の赤ちゃんを抱いて 五方の神々に祈りを捧げます。
 
 ちゃんのきょとんとした表情、時には大泣きするのを両親だけでなく、集落のみなさんが微笑み見守ります。
 可愛らしさにつられて笑いさざめきながら、時代をこえ 幼子の幸多かれと祈る心をしみじみと感じる・・・そういう素敵な行事です。

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神祭(津野町宮谷地区)

 10月末から11月にかけて、高知県中央部の山村「津野山地域」で、秋祭りの神楽奉納が行われます。


 津野山地域でも旧東津野村(ひがしつのむら)の津野山古式神楽は、延喜三年(913年)に京から藤原経高が津野山郷に来国した際から始まったとされ、今も古の形を残して伝えています。

 津野町宮谷地区の大元神社でも、祭りの準備が整いました。神殿前には色とりどりの紙幣、しめ縄がめぐらされます。


 神殿と神楽の舞台。
 舞台は神前に4m四方の板張りの舞殿が設けられます。
舞台の周りは大きな柱、家で言うと鴨居の部分には四方に(さらに裏表に)意匠をこらした彫刻があしらわれます。
  デザインはどれもめでたいもの。 「鷹」、 百花の王「牡丹」、「竹に雀」
 

 

 

 

 

これは「金太郎さん」ですね。ここだけ鮮やかな彩色です。
 

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つるかめ焼き(高知県津野町)

 高知県津野町の秋祭りの会場に長い行列。その先に「もろぎや つるかめ焼き」の看板がありました。
 「つるかめ焼き」は、知る人ぞ知る地元の名物です。
 材料や味わいは今川焼き、たい焼きの仲間で、かっては全国的にお店や屋台がありました。
 高知県内にもたくさんあったのですが、徐々に減っていき、ほとんど姿を消していきました。
 「もろぎや」さんの「つるかめ焼き」は、地域の方々に今も根強い人気を誇っています。小さな子ども連れの若いおかあさんたちが、二つ三つと買い求め、お子さんと一緒に熱々のをほおばっています。自分たちの小さいころの思い出も分け合って食べているようで、見ていて嬉しくなりました。


 
 素朴な生地に手作りの美味しいあんこをのせ 一本ずつ型を火にかけます。
 そして、一回に鶴と亀が対になって焼きあがります。

 

 もろぎやさんは戦後すぐから、このお店を続けています。お客様の「おいしい!」という声に目を細めてにっこり。
 「つるかめ焼き」という名はお客様の長寿を願ってつけられたそうです。どうぞ、ご自身も長く長くお元気でいらしてください!
 

 

 

 

 

 

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干し柿

 柿(カキ)はカキノキ科の落葉樹です。 原産地は東アジアで、中国では四川、雲南、浙江にわたって野生種が分布しています。日本の地質時代のカキの化石が見つかっているので、日本も原生地域ではないかという説もあります。

 柿には渋柿と甘柿があります。歴史的な記録や痕跡から察するに、もともとは渋柿だけだったのですが、後に甘柿が現れたと考えられています。
 渋柿もこうやって干すと甘くなります。干し柿は砂糖が無かった時代の貴重な甘み。

 画像は信州飯田市の柿簾(かきすだれ)。今は食品の安全管理のため、こうして戸外に干すのは自家用のものになります。

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幣(ぬさ)と紅葉

 神道の祭祀で用いられる御幣(ごへい)は、2本の紙垂を竹または木の幣串に挟んで作ります。別名幣束(へいそく)、幣(ぬさ)ともいいます。
 神官さんが頭上で粛々とお祓いをしてくださると、気持ちがすがすがしく軽くなるのが不思議です。

 百人一首にある歌「このたびは ぬさもとりあへず たむけやま もみじのにしきかみのまにまに」
 その意味は、「今度の旅(今回)は急だったので、神様に捧げる幣(ぬさ)を用意してくることができませんでした。手向山の紅葉を(手向けに)お捧げします。御心のままにお受け取りください。たび、たむけと掛詞を用いた巧みな和歌です。

 鮮やかな紅葉をきっと神様も喜んでお受け取りくださることでしょう。
画像は高知県四万十町中津川の紅葉。

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