えんどうまめ(農業全書の中の生き物たち)

   今が旬のえんどうまめのふるさとはオリエント地方、地中海沿岸。SONY DSC
もともとは麦畑の雑草だったのが、品種改良されて、今のぷっくりしたお豆さんになりました。

 ご存じ宮崎安貞の記す「農業全書」にもこのように紹介されています。
春に至ってはやくもろもろの豆にさきだちて實るを賞翫とする(春になると早く、他のいろいろな豆より先に実を付けるのを食べる)」

ここまでは、なるほどなるほど・・・・。

 ところが次の段落には
「又おほくうへおき。春になり其苗をとり、田のこやしに用いてすぐれてよくきくものなり。
ことに苗代のこゑとして無類のものなり。」
 つまり「苗を多く植えておいて、それを刈り取って肥料として用いると、すごくよく効く・・・」と。

この箇所でうーむ・・・・と唸ってしまった。何故って?
 豆類は根に根粒菌がついていて、空気中の窒素を土の中に取り込んで肥沃にする、というのはよく知られています。だから、豆の苗を肥やしに用いるということは、実に合理的で、何の不思議もありません。
   それよりも、昔の農業って肥料まで栽培していたんだーと・・・・・さらには・・・・いつのまにか「肥料は買うもの」という思い込みに染まっていた自分自身に驚いてしまったわけです。

(厳しい寒さを越して春先、ぐんぐん伸び始めるエンドウマメ。全書の記述から察するにもう少し育った状態で刈り取って肥料にするらしいです)

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