初級編 農家民宿・漁家民宿 お泊まりの心得

1 情報収集

 農家民宿って、どこにあるの?
 最近はHPのあるお宿も多くなりました。
ネット検索するときは「農家民宿」、「漁家民宿」、「農泊」、「グリーン・ツーリズム」をキーワードにすると見つけやすいでしょう。
ただし、お宿のHP情報はまだまだ十分ではありません。ふつうの旅館、ホテルのつもりで予約して・・・・えっ??と思うことがかなり起きているようです。

以下、予約や準備の作法をご覧ください。

2 予約時 

(1)「はい、〇〇(個人名)です」??
 農林漁家民宿はお宿ですが、同時に農家や漁師さんです。
ですから「はい、△△(お宿名)でございます」と言わないケースもあります。
一瞬びっくり!おそるおそる「あのう、△△さんでしょうか?」「はい!」という次第に。

 ここが田舎に泊まる旅の第一歩です。

(2)アメニティグッズ、あるかどうか確認しよう

 寝間着、手ぬぐい、歯ブラシ、ひげ剃り、石けん、シャンプー、リンス、など。
備えているお宿もあれば、ご持参くださいというお宿もあります。お宿によって少しずつ違うので、予約の時に確認しましょう。
また、山の一軒家の場
合、近くにはお店がないということもあります。持病のある方は、常備薬もお忘れ無く。

(3)最寄り駅、目印をしっかり聞いておこう  

 最寄り駅まで向かえに来ていただけることもあります。
ただし、全てのお宿でお迎えができるとは限りません。

 当日になって道を聞こうとしても、携帯電波の入り具合が良くないところもあります。間違いそうな曲がり角など、前もってしっかり聞きましょう。
分かりやすい目印のある場所でオーナーさんと待ち合わせしてもいいですね。

(4)相客の有無、お部屋の様子も

 農林漁家民宿は定員が少なくて1日1組に限られるところがほとんどです。
 でも場合によっては相客さんがいるかもしれません。
 予約の時に確認しましょう。

 お部屋の仕様やペット同伴の可否など、聞いておきましょう。
ご高齢の方には、椅子やベッドの方が都合がよいという方もいらっしゃるかも。

 何か希望があればこの時点でお願いしてみましょう。

(5)チェックインとチェックアウト

 お宿では夕食はちょうど食べ頃を供したいと思っています。
到着時刻はできるだけ決めておきましょう。

 また、お宿近くの泉質のいい温泉を紹介したいと思っていることもあります。
お風呂、夕食のお時間。 なんでも相談してみましょう。

(6)体験の申し込みをする
 民宿のHPにワクワクする体験を見つけました、さて・・・。

①あなたが泊まる季節にそれができるかどうか、まず確認しましょう。
 「できます」ならラッキー!!  申し込みをしましょう。

 「ごめんなさい、できません」というとき
季節外れのものはきっぱりあきらめるのが農山漁村の体験のルールです。
その時にしか体験できないのは、それが本物だからです。

☆☆でも、そこであきらめるのはもったいない。
 ↓

②今何ができますか?と聞いてみましょう。
 HPに載っていない思いがけない体験があるかもしれません。

③多くのリピーターさんのは、ただのんびり、ゆったりと時間を過ごしています。
 木陰で読書。
 水田や川を渡ってくる風の涼しさ。
冬は暖炉の炎、薪のはじける音を聞く。
それも都会ではできない体験です。 

(7)好き嫌いはともかく、アレルギーのある方は必ず伝えておきましょう。
 アレルギーは命にかかわるので前もって必ず伝えてください。
 「味が嫌い、においが嫌い」という理由でしたら、えいっと目をつぶってチャレンジしてみよう!

※お客様のエピソード
トマトが大嫌いだったうちの子は、畑でもいでかじった新鮮このうえないトマトを「美味しい!これがトマト?」と不思議そうに言いましたよ!

 (8)食材やお酒の持ち込み

  ご遠慮ください、というお宿もあります。ご自由に、というお宿もあります。
ビール程度は準備していますが、それ以外はお持ち込みください、というところも。
それぞれ、すごく違いますので、まず確認しましょう。

 お持込みOKの場合は、地元の造り酒屋さんでしか売っていないような地酒のおすすめの銘柄もあるかもしれません。
教えてもらいましょう。

3 当日までに

 (1)キャンセルや変更
   農業や漁業の体験は前日から仕込みの必要なものもあります。
たとえば、地小麦の生地が天然酵母でふっくら膨らむには一定の時間がかかります。
キャンセルや変更は出来るだけ早め、遅くても前日までに、理想は前々日
までに。

 (2)自分で準備しておくもの
  野菜の収穫なら専用のハサミや収穫かごなど、たいていお宿で準備してくれています。
も、身につけるものであくまでMYグッズでないとだめという人は持って行きましょう。

4 当日

(1)到着時刻の変更は早めにしよう 

 思わぬ交通渋滞、道に迷う、そういう理由だけでなく
きれいな景色に車を止めて見いってしまう・・・。
野菜の直売所につい立ち寄ってしまう・・・。
などなど・・・、田舎への道のりは思わぬ時間がかかることがあります。

  遅れそうならお宿へ一報を。
  農家民宿、漁家民宿のオーナーさんはとても家庭的。何かあったのではないかと心配しています。

※お客様のエピソード
本当は川遊びをする予定だったのに渋滞で夕方近くなって到着。子どもたちはがっかり。
でもお宿のおとうさんが配慮してくださって、お庭で線香花火を楽しみました。
都会の団地では御法度の花火です。・・・・・きれいで楽しい体験でした。

 (2)道に迷ってしまいました!

 どんなに詳しく聞いておいても、道に迷うことはあります。
慌てないで。
落ち着いて。
近くのお店でお電話を借りるなど、携帯がなかったころの連絡方法を思い出しましょう。
とうとう最後まで行き着かなかった、という話はまだ聞いたことがありませんから。 

※お客様のエピソード
ガードレールのない山道、しかも
携帯が通じない、どうしよう、泣きそうになりながらお宿にたどり着くと、昔ながらのまるで絵のような小さな集落がお出迎え。
本当に感動しました!

(3)体調は遠慮せずに伝えよう

 無理をして体験しようとせずに、ゆっくり身体を休ませましょう。
 畳の上、自然の風を感じながら涼しい昼寝も滅多に味わえない体験です。

 のんびり、のんびり・・・・あなたの田舎の家だと思って。
それこそが「おうち宿」の醍醐味です。

  ※お客様のエピソード
遠くのヒグラシの声を聞きながら、ちょっと遅めのお昼寝をしました。トトロの物語の中に入ったような気持ちでした。

 (4)お宿の備品や設備について

 お宿によっては、農家のおうちの中だったり、古民家だったりします。 伝統的な家屋の場合、始めて見る調度もあるでしょう。
使い方、扱い方は遠慮無くお宿の人に聞きましょう。
使いこなせば昔暮らし体験、お土産話になるかもしれません。

※お客様のエピソード
 私の泊まったお宿は五右衛門風呂でした。
 お手洗いも古風なタイプでした。

 お風呂をわかすお手伝いをしてちょっと昔の暮らし体験ができました。
 薪に火をつけるコツが分かったとき嬉しかったなー
昔のくらしがいかに水や燃料を無駄遣いしなかったか、実感しました。

   今のくらし、見直せるかな?

 (5)体験

◆指導や説明を充分聞きましょう
舗装してない道、雨上がりのぬかるみ、自然に近いのだからそれが当たり前。ミュールやサンダルでの山道、沢登りは御法度です。
くれぐれも怪我をしないよう、指導してくださる方の説明にはようく耳を傾けましょう。民宿のおとうさんのおやじギャグはきっとあなたをリラックスさせたいから(^o^)。

  堅くならずに、かつ油断もせずに、滅多に出来ない楽しい体験をしましょうね。

◆お天気
お天道様だけはどうにも変えようがありません。
仕方ない、とあきらめることも必要です。特に海や川の体験は無理な実施は危険このうえなし。絶対に無理なおねだりをしないでください。
アウトドア体験をあきらめても、室内の農産物加工体験があるかも。
宿のおとうさんやおかあさんは、みなさんにいい思い出を持って帰ってもらいたいと思っています。お願いで困らせないようにしてね。

 無事であってこそいい思い出になるのですから。  

5 滞在
民宿に泊まる楽しみその1(風景)

 お宿に着いて、そんなに疲れていなくて、外が明るかったら、お散歩をおすすめします。お宿の方に、見所があれば聞いてみましょう。

 棚田、清流、砂浜、港、夕陽、満月・・・・都会ではまず見られない絶景。この瞬間でしか見られない絵のような風景が見られます。 

 

 

民宿に泊まる楽しみその2(旬、新鮮)

 民宿で一番楽しみなのは、なんといっても食事。 食材の新鮮さ。
 畑や海にも行ってみましょう。都会の量販店では切り身しかお目にかかれない魚が、こんな色をしているなんて。 オクラの花は、こんなきれいなのですが、朝早く開いてしぼんでしまいます。ちょっと早起きしたら見ることができる。それが田舎旅の嬉しさです。

 

 民宿に泊まる楽しみその3(食材、伝統料理、加工)

 日本は南北に長い島国です。
 山もありますし海もありますから、初めての食材にも出会えます。
知っている食材でも、こんな食べ方があるのね-と驚きます。

 昔は今のように流通が発達していなくて、輸入もありませんでした。
食べ物は貴重品でした。 雪に閉ざされる冬にも食べられるよう、お漬け物や発酵食品が作られました。
 田舎には食べ物を大切にする心が残っています。

 

民宿に泊まる楽しみその4(食体験) 

 加工食品や伝統料理づくりを体験できるお宿があります。できたお料理は、そのまま夕食や昼食に。加工食品はおみやげに。

 

 

民宿に泊まる楽しみその5(アウトドア) 

 自然体験ができるお宿もあります。
「体験」の箇所に書いてあるように、安全第一、お宿の方の指導をよく聞いて、楽しみましょう。

 海辺へ来たからと行って、海岸だけが体験の場所ではありません。 浜辺で拾った貝殻をビーチコーミングでオブジェに。 夏休みの宿題になるかも。

おわりに

 ここまで読んでくださったみなさま。
 農家民宿、漁家民宿のイメージは膨らみましたか?

 「5つのツボ」に書きましたように
 農家民宿、漁家民宿は、それぞれ個性豊かです。
 そして、お宿のおとうさんやおかあさんは、都市の方々に楽しんでいただきたいという思いにあふれています。

 お宿を始めて間もないオーナーさんは、少しぎごちないこともあります。
仮に最初ちょっとした行き違いや誤解があったとしても
それ以上の感動や、お宿のオーナーさんの人柄を知ることで
親戚のようなおつきあいが続いているリピーターさんは数知れません。

 たくさんの農家民宿、漁家民宿のなかから、あなたの新しいふるさとを探してみてください。

 どうぞ、あなたに
田舎へのいい旅、田舎とのいい出会いがありますように!