高知県市四万十町(しまんとちょう)の市街地からさらに四万十川の本流、支流の檮原川とたどっていくにつれ、初めて「はこば」を訪れる方は皆一度は不安になってしまうという(そして二度目の方ならば「今から「はこば」に会える」というわくわく感を感じるという)深い山道に入ります。 集落全体が左手に広がる頃、景色の真ん中にログハウス風の小さな家が見えてきます。
とうとう着きました。ここが「はこば」です。 「はこば」の建物は、山林に作業道を付けることから始め、60年生の杉を切り出して地元の大工さんと相談しながらオーナーの荘市さん客子さんご夫妻ののイメージを膨らませて建てました。
部屋に入って一休みすると涼しい風が吹き渡ります。
正座が苦手の方には椅子が、自炊もできるように炊事の施設も完備。
来る方がそれぞれのくつろぎを満喫できる造りです。
「はこば」のファンの皆さんは、まずお料理に魅せられます。
私が訪れた時は、炭火で焼き目をつけた夏野菜の焼き浸し、ご主人手作りの燻製(卵、肉)、アメゴの塩焼き、デザートは梅のゼリー、干し柿と四万十特産の青海苔をアレンジした創作菓子。
菜園からもいできたばかりの夏野菜たち。それが客子さんの調理で新鮮な味覚に生まれ変わって囲炉裏端に並びます。料理上手というだけなく心の行き届いたお料理です。
「はこば」にはエアコンがありません。夏は屋根に打ち水、自然の風、冬は暖炉。都市では考えられない空間です。
あの長い不安な山道で隔てられた「桃源郷」という言葉が頭に浮かびます。